私は、これまで糖尿病内科専門医として研鑚し多くの臨床経験を積んでまいりました。

私自身の専門を活かし糖尿病を中心に生活習慣病をはじめとする内科疾患についての情報を少しでも皆様の生活に役立ててもらえればと考えております。

2016年6月8日水曜日

最新のインスリン療法について

糖尿病・生活習慣病のおはなし

シリーズ③ 最新のインスリン療法について

糖尿病テラード治療の幕開けについて前項でお話し致しました。 インスリン治療も最近は多様化しています。ここでは、簡単なイン スリンの最新治療についてご紹介します。

① SAP療法:Sensor Augmented Pump パーソナルCGM機能を搭載したインスリンポンプです。血糖をリアルタイムに モニターしながらインスリンポンプで自動的にインスリンを注射します。自己負 担額が高額になるため、1型糖尿病の患者さんなどに適応は限られてきます。

② BOT療法: Basal Supported Oral Therapy 経口薬を服用しながら基礎インスリンを追加する方法です。インスリンの回数が 1回で済み、安定した血糖コントロールが得られます。最近の主流になっています。

③ BGT療法:Basal supported GLP-1 Therapy 今年海外のガイドラインに登場した新しい治療法です。インスリンと GLP-1受容体作動薬を朝に1回ずつ注射します。効果のある方ではインスリ ンの頻回注射から離脱できます。低血糖回数が減りすぐれた治療法です が、効果がでない患者さんもいます。導入には注意が必要です。

④ 強化インスリン療法 古典的な治療法ですが、非常にシンプルで優れた治療法です。カーボカ ウント法やスライディングスケール法といったインスリン治療スキルを併用 して低血糖などおこさないようにコントロールすることが重要です。

他にも沢山の治療方法があり、個人の生活スタイルにあったイ ンスリン治療を選択できる時代になりました。限られた選択肢で 病気と戦っていた昔を思うと、隔世の念があります。