糖尿病・生活習慣病のおはなし
シリーズ④ 糖尿病治療の目的を考えてみる
今回からは糖尿病の治療目的についてお話しします。以前ケンブリッジ大学の学生が我家にホームステイしていました。彼女曰く“日本人はとにかくルールを守ろうとするのでとても尊敬もするが、少し行き過ぎていると感じる時もある”。
確かに日本人は、糖尿病治療の世界でも医者から患者まで、とにかくルールを大切にします。“カロリーは1日○○kcalにしなさい”、“食後血糖は○○までにおさめなさい”のように細かく、画一的な指導する傾向があります。それはそれで正しいのですが、何か違和感を感じる方も多いのではないでしょうか。
糖尿病の治療目的は,健康人と同様な日常生活の質(QOL)を保ち、健康人と変わらない寿命を全うすることにあります。つまり毎日を元気に過ごすことが目的です。沢山のお薬を飲んで血糖や血圧、コレステロール値を限りなく正常化することが必ず健康につながるとは限りません。
今回のテーマでは、多くのの臨床データに基づいて、統計学的に妥当性のある最新最良の医学知見を用いる医療(evidencebasedmedicine)の観点から、糖尿病治療の目的を再考していきたいと思います。